リズと青い鳥のこと
リズと青い鳥の感想を箇条書きで記しておきます。
- 最高の一言に尽きる
- まず演出の密度が濃過ぎて付いていけない。1/10倍速で見せてくれ
- 劇伴、音響が最高。冒頭のぎこちない音の断片(聲の形を彷彿とさせる)と、少女たちの靴音が混ざり合う感じ、始まる前のふわついた雰囲気、演奏前のステージでチューニングが始まるあの感じ。そこから傘木希美がやってきて徐々に音楽が紡がれていく、果てしない高揚感
- 鎧塚みぞれが登場してから傘木希美と2人で部室に入るまでに丸々5分間は費やしており、この時点で画面は情報の洪水めいている。必ず傘木希美の後を付いていこうとする鎧塚みぞれと、間違いなくそれを知っていて言葉少なに歩く傘木。急に階段の手すりから笑顔をのぞかせる傘木と、それを眩しそうに、驚いたように見やる鎧塚みぞれ。踊り場に出た鎧塚は階段の上を振り仰ぐが、カメラは階段を斜めに撮る(視点の主である鎧塚の不安が垣間見える)ばかりで傘木の足を画面の端にかろうじて捉えるのみ、階段の上は陽光が充ちて明るく、その光の中へ弾むように歩き出す傘木(この瞬間の傘木は間違いなく”鳥”だった)をやはり眩しそうに眺める鎧塚みぞれ。部室の鍵を差し込む鎧塚は一拍おいてから鍵を開ける、鍵を開けることに億劫なように、ともすればこのままドアの前で日が暮れるまで佇んでいたいと思わせるほど長い”一拍”ののち、開かれた部室に傘木は踊るようにくるりと回転しながら入っていく。これまで何度も繰り返されてきただろう二人の朝の情景、その日常に埋没して見えないはずの決定的な一回性が、ここでは痛ましいまでの緻密さで描き出されている。それがいずれ夢に回顧されるだけの幻となることが運命付けられていることを、この日常は、痛切に物語っているのだ。
- 二人で絵本を眺めながら、傘木に寄りかかろうとする鎧塚みぞれの髪が傘木の肩に触れるか触れないかのあわい、不意に立ち上がる傘木。お前は絶対にそのことをわかっていて、それでギリギリのところでたまらず立ち上がったんだろう? オレにはわかる。傘木、お前はこの時、鎧塚に踏み込まれることがなぜだか無性に怖くてたまらなかったんだろう? オレにはわかるんだよ、傘木。
- 時折挿入させる抽象的な水彩、鎧塚みぞれの心象風景。
- 鎧塚みぞれの、不安を感じた時に髪に触れる仕草。傘木希美の、気まずい時に後ろに組んだ手を遊ばせてしまう仕草。鎧塚みぞれの、気まずい時に手元の作業をなんとなく止めずに続けてしまう仕草。すべてが胸に刺さる。そうだ、この映画には確かに、鎧塚みぞれと傘木希美の"匂い"と"体温"がある。オレはその瞬間北宇治高校の周りを満たす空気になって、彼女たちの匂いと体温を、確かにこの身のうちに内包していたのだ。オレはいま、自らのうちから失われてしまった彼女たちの体温を、こうして探し続けている…。
- フグの水槽に撒き餌する鎧塚みぞれ。フグには毒がある。俺にはわかるんだよ、鎧塚。
- 対人関係において比類なく正しい人間のように描かれていた傘木が、音大を受けるという鎧塚みぞれに対してのみ垣間見せる焦りと嫉妬。この映画のプロット上のキー描写だ。
- 自分を青い鳥に見立てて言う「青い鳥は、会いたくなったらまたリズの所に帰ってくればいいんだよ」「でも、ハッピーエンドじゃん?」の傲慢さなんだよ。鎧塚との間に横たわる感情の不均等さによってアイデンティティを補う自分の醜悪さを自覚しながらもその精神的依存から抜け出せない傘木の自意識。
- それにしても、一度部活から離れた傘木が練習を重ねてオーディションを突破したという事実だけで涙が出てしまう。この映画が始まる前から、傘木は鎧塚を必死に追いかけてきたのだ。しかもそのこと自体を一切説明せずに、過去を省みるシーンもなく、現在の描写だけで見事に描き切っている(特に剣崎の涙が傘木の努力を遡及的に裏付けた)。精確無比な描写のバランス感覚。こうして、傘木を追いかける鎧塚という構図から、鎧塚を追いかける傘木という裏の構図が徐々に浮き彫りにされていく。
- 鎧塚が剣崎をプールに誘ったエピソードは、傘木へのあこがれを昇華して鎧塚が少しずつ成長していることを示しているし、剣崎はかわいい。
- 自分が傘木に対して抱いていた感情と、傘木が自分に対して抱いていた感情が対称だったことに気付いた鎧塚の心象風景はオレンジと青が渾然となっていた。これは明らかに童話の結末の中においてリズ(オレンジ)と青い鳥が離れていても結ばれている:jointことを象徴していて、鎧塚がたどり着いた”答え”を明確に示している。
- 鎧塚みぞれが羽ばたいた第三楽章。究極の劇伴。この映画を劇場で観なければならない最大の理由。
- 自分との出会いが嬉しかったと告げられ「ゴメン、よく覚えてない」という傘木。しかし理科室を後にする傘木が思うのは、自分が鎧塚を誘った日の克明な記憶だ。そうだ、傘木は理科室で意図して嘘をついた。そしてこの嘘は鎧塚への依存から脱却する意思であり、青い鳥を羽ばたかせたいという意思なのだ。そしてなにより、傘木にとっても鎧塚との出会いが特別でかけがえのないものだったということが示されるこの回想(そもそもこの映画におけるカメラは基本的に傍観者に徹しており回想シーンは特別な位置を占めている)は、この映画を観る者に与えられた救済なのだ。
- 「みぞれのオーボエが好き」こそが傘木の内で鎧塚を囲っていた鳥かごを開けた鍵に他ならない。こんなに簡単に開けられたんじゃん、と吹き出して笑う傘木。歪だが対称的だった依存関係からの脱却。
- この映画の結末、一見して鎧塚と傘木はお互い決別:disjointしたように見える。傘木に気持を伝えた鎧塚の言葉の中に「希美のフルートが好き」という言葉はなかった。鎧塚に伝えた傘木の気持は「みぞれのオーボエが好き」だけだった。この非対称が決別のように思え、確かにその後傘木は受験勉強を始める。しかし、これはぼくが思うに決別ではない。二人は自然な形に収束し、結合:jointしたのである。互いが互いに依存することをやめ、互いの気持を確かめあい、互いの道を歩み始めたということだ。それでも同じコンクール、高校最後のコンクールを目指す二人の道は随所で交差している。交差する道を、時おり同じペースで歩くことができる。それは全面的に許されている。この映画の結末で家路につく二人の歩みはことに感情を揺さぶるシークエンスだ。これは、この映画の冒頭で傘木がリズと青い鳥に対して提案したハッピーエンドの形にほかならないではないか。お互いに違う世界を目指し、違う世界を生きつつも、つかの間同じ道、同じ時間を共有すること。それは人間一般二人が苦楽を共にし、共に長く生きていくということに他ならない。二人は自然な形に収束し、こうして人生のパートナーとして結合:jointしたのである。
(ここから二回目視聴時感想)
- 自分を青い鳥に見立てて言う「青い鳥は、会いたくなったらまたリズの所に帰ってくればいいんだよ」「でも、ハッピーエンドじゃん?」の傲慢さなんだよ。鎧塚との間に横たわる感情の不均等さによってアイデンティティを補う自分の醜悪さを自覚しながらもその精神的依存から抜け出せない傘木の自意識。それが理科室での「あたし、みぞれが思うような人間じゃないよ」に繋がっている。
- 先生に音大を勧められたと鎧塚に告げられたときから、自分が青い鳥ではなくリズなのだということに決定的に気づいてしまった傘木は……プールに「わたしも友達誘っていい」という鎧塚に対する一瞬の表情の痛々しさがたまらないんだ……
- 終盤前まで二人のボタンのかけ違い感がそこはかとなく示され続けるこの恐るべきバランス感覚。ここが完璧に表現されているからこそ、理科室の後の二人の、ようやく互いに向き合うことができたときのカタルシスが生まれる。
- 例のオーボエソロでカメラのピントがずらされるのは傘木の涙による。
- 鎧塚に自分との出会いが嬉しかったと告げられ、「ごめん、それよく覚えてないんだよ」という傘木。しかし理科室を後にする傘木が思うのは、自分が鎧塚を誘った日の克明な記憶だ。そうだ、傘木は理科室で意図して嘘をついている。そしてこの嘘は鎧塚への依存から脱却する意思の表れであり、青い鳥を羽ばたかせたいという意思なのだ。そしてなにより、傘木にとっても鎧塚との出会いが特別でかけがえのないものだったということが示されるこの回想は、この映画を観る者に与えられた祝福なのだ。おそるべき幸福感がこのシークエンスのあと味となってぼくの胸の中でアイスクリームのように溶けていく……
- 「みぞれのオーボエが好き」こそが傘木の内で鎧塚を囲っていた鳥かごを開けた鍵に他ならない。こんなに簡単に開けられたんじゃん、と吹き出して笑う傘木。歪だが対称的だった依存関係からの恒久的な脱却。ここで傘木は鎧塚の才能に対する嫉妬心を、自分の自意識の醜さをさらけ出したのだ。そしておそらくここで鎧塚ははじめて傘木が何を欲しがっていたのかを知ることになったのだろうとも思う。
- つかず離れずの二羽の鳥。
- 「あたし、みぞれのオーボエを完璧に支えるから。もう少しだけ待ってて」は、理科室での三回目の「ありがとう」の猶予の続き。「わたしも、オーボエ続ける」この会話は二人の未来を示唆しているように思えてならない——joint
『おやすみ警報』ふかふか団地
第二十五回文学フリマ東京にて入手。4人の作者による短篇4本の合同誌です。以下、おのおの感想を書きます。
(表紙がキュート)
「Good Morning Glory」伝右川伝右
子供のころの一時期だけ会ってそれきりの友だちの記憶というのはけっこう後々まで印象に残っていて思い起こす都度みずみずしい憧憬を伴うんだけど本作にはそういう一夏の思い出のキラキラ感がしっかり表現されていると思うし、そこに人間が出来たやさしいおばあちゃんが出てくるもんだから心が温まらないわけがないんだよなあ。祖母:孫娘の関係性に脆弱性があることに気付かされてしまった。
「The Queen Is Dead」尾瀬みさき
去年の『ニュータウン』に寄稿されていた短篇もそうだったけど、作者が書く主人公とヒロインの掛け合いがめっちゃ好きなんですよね。で本作のヒロインの設定はぼくの脆弱性を完全に突いてきていてぐおお……とかくああ……とか変な声でうめきながら読んだ。自意識過剰系の語りはむかし佐藤友哉とかを好んで読みまくってたのでスッと読めた。結末にかけては「ん?」なんだけどまあ「ん?」な部分も含めて好きです。
「ペーパードライバー短編集」さんらいと
「乱脈な気孔」が好きかな。ビール飲みながら読んでいたせいかもしれないけど所々でくすっと笑わせに来る。こういう読者にとっては日常的なことを大仰な語りで語ることでコミカルな印象を出してるんだと思うんだけど成功していると思う。とはいえ、その大仰な語りが鼻につかないというとそんなこともなかった。
「夢のとなり」愛宕恵
これが一番好き。設定とプロットを丁寧に織り込んでいって結末できちんと高ぶらせてくる。というかぼくは丸岡さんに完全に感情移入していて丸岡さんの気持に完全にシンクロしてしまって最後は普通に泣いた。いやぼくは声優にあまり興味がないので、そういう表面的なシンクロではなくて、もっとね、根っこの部分でシンクロさせられてしまったってワケ。欠点を上げるとしたら冒頭で設定を陳列しているところが退屈だった点か。とはいえこれは痛切な救済の物語でありオレたちの新しいアンセムだ。
Planckキーボードのキーレイアウトの話 その2
最近、Planckキーボードのレイアウトを変えて大変しっくり来たので記録。
両手の小指の付け根でレイヤー切り替えを行う形。右下のキーは、右矢印キーとレイヤー切り替えキーを同居(tap/hold)。
* ,-----------------------------------------------------------------------------------.
* | Tab | Q | W | E | R | T | Y | U | I | O | P | - |
* |------+------+------+------+------+-------------+------+------+------+------+------|
* | LCtrl| A | S | D | F | G | H | J | K | L | ; | " |
* |------+------+------+------+------+------|------+------+------+------+------+------|
* | Shift| Z | X | C | V | B | N | M | , | . | / | Up |
* |------+------+------+------+------+------+------+------+------+------+------+------|
* | Raise| Ctrl | Alt | GUI | eisu |Space |Enter | kana | GUI | Left | Down |Lw/Rgt|
* `-----------------------------------------------------------------------------------'
*/
[_MAC] = {
{KC_TAB, KC_Q, KC_W, KC_E, KC_R, KC_T, KC_Y, KC_U, KC_I, KC_O, KC_P, KC_MINS},
{KC_LCTL, KC_A, KC_S, KC_D, KC_F, KC_G, KC_H, KC_J, KC_K, KC_L, KC_SCLN, KC_QUOT},
{KC_LSFT, KC_Z, KC_X, KC_C, KC_V, KC_B, KC_N, KC_M, KC_COMM, KC_DOT, KC_SLSH, KC_UP},
{MO(_RIS), KC_RCTL, KC_LALT, KC_LGUI, KC_LANG2,KC_SPC, KC_ENT, KC_LANG1,KC_RGUI, KC_LEFT, KC_DOWN, LT(_LWR, KC_RGHT)}
},
/* Raise
* ,-----------------------------------------------------------------------------------.
* | Esc | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 0 | = |
* |------+------+------+------+------+-------------+------+------+------+------+------|
* | | F1 | F2 | F3 | F4 | ( | ) | F7 | F8 | F9 | ~ | ¥ |
* |------+------+------+------+------+------|------+------+------+------+------+------|
* | | | | | | [ | ] | | | | | |
* |------+------+------+------+------+------+------+------+------+------+------+------|
* | | Del | | | | Bksp | Bksp | | | | |Right |
* `-----------------------------------------------------------------------------------'
*/
[_RIS] = {
{KC_ESC, KC_1, KC_2, KC_3, KC_4, KC_5, KC_6, KC_7, KC_8, KC_9, KC_0, KC_EQL},
{_______, KC_F1, KC_F2, KC_F3, KC_F4, S(KC_9), S(KC_0), KC_F7, KC_F8, KC_F9, S(KC_GRV), KC_BSLS},
{_______, _______, _______, _______, _______, KC_LBRC, KC_RBRC, _______, _______, _______, _______, _______},
{_______, KC_DEL, _______, _______, _______, KC_BSPC, KC_BSPC, _______, _______, _______, _______, KC_RGHT}
},
/* Lower
* ,-----------------------------------------------------------------------------------.
* | | ! | @ | # | $ | % | ^ | & | * | | UP | + |
* |------+------+------+------+------+-------------+------+------+------+------+------|
* | | HOME | | DEL | RGHT | | BKSP | Enter| | | ` | | |
* |------+------+------+------+------+------|------+------+------+------+------+------|
* | | | | | PGDN | LEFT | DOWN | | | | | |
* |------+------+------+------+------+------+------+------+------+------+------+------|
* | | | | | | | | | | | | |
* `-----------------------------------------------------------------------------------'
*/
[_LWR] = {
{_______, S(KC_1), S(KC_2), S(KC_3), S(KC_4), S(KC_5), S(KC_6), S(KC_7), S(KC_8), _______, KC_UP, S(KC_EQL)},
{_______, KC_HOME, _______, KC_DEL, KC_RGHT, _______, KC_BSPC, KC_ENT, _______, _______, KC_GRV, S(KC_BSLS)},
{_______, _______, _______, _______, KC_PGDN, KC_LEFT, KC_DOWN, _______, _______, _______, _______, _______},
{_______, _______, _______, _______, _______, _______, _______, _______, _______, _______, _______, _______}
},
Planckキーボードのレイヤー切り替えとかな/英数切り替え設定
Planckキーボードにおいてレイヤー切り替えキー(Raise/ Lower)は非常に押下頻度の大きいキーであり、できれば親指で押下できるエリアに配置したいものである。ところがMacの日本語キーボードにおけるかな/英数切り替え方法(スペースキーの両脇のかな/英数キーによる切り替え)に慣れ親しんだものにとって、Raise/ Lowerの位置にこそかな/英数キーを配置したいと思うのが人情である。
そこで、QMKファームウェアの”Momentary Switch with tap toggle”機能を使ってこのジレンマに終止符を打ったというのが本記事の趣旨である。
つまり、
LT(layer, kc)
を割り当てたキーをタップするとkcが入力され、長押しするとlayerに切り替わるので、Raise/ Lowerキーとかな/英数キーを2つのキーに割り当てることができる。
長押しと判定されるまでの時間は、デフォルトでは200(ms)に設定されている。ぼくの場合この設定は長すぎで、Raise+qと押下してqが入力されるといったことが頻発したので、
qmk_firmware-master/tmk_core/common/action_tapping.h
にて
/* period of tapping(ms) */
#ifndef TAPPING_TERM
/* #define TAPPING_TERM 200 */
#define TAPPING_TERM 75
#endif
としたらぼくにはちょうどよかった。
最後に、現在のWindowsマシン用のキー設定は以下の通り。なお、Windowsマシンではkeyhacにて、変換/無変換キーにIME切り替え機能を付与している。その他、左CtrlをemacsキーバインドのC-に、右Ctrlを普通のコントロールキーに設定している。
define _WIN 0
define _LWR 1
define _RIS 2
// Macro name shortcuts
#define WIN M(_WIN)
#define LWR M(_LWR)
#define RIS M(_RIS)
// Fillers to make layering more clear
#define _______ KC_TRNS
#define XXXXXXX KC_NO
const uint16_t PROGMEM keymaps[][MATRIX_ROWS][MATRIX_COLS] = {
/* WIN
* ,-----------------------------------------------------------------------------------.
* | Tab | Q | W | E | R | T | Y | U | I | O | P | - |
* |------+------+------+------+------+-------------+------+------+------+------+------|
* | lCtrl| A | S | D | F | G | H | J | K | L | ; | " |
* |------+------+------+------+------+------|------+------+------+------+------+------|
* | Shift| Z | X | C | V | B | N | M | , | . | / | Up |
* |------+------+------+------+------+------+------+------+------+------+------+------|
* | Esc | GUI | Alt | rCtrl|Raise |Space |Enter |Lower | rCtrl| Left | Down |Right |
* `-----------------------------------------------------------------------------------'
*/
[_WIN] = {
{KC_TAB, KC_Q, KC_W, KC_E, KC_R, KC_T, KC_Y, KC_U, KC_I, KC_O, KC_P, KC_MINS},
{KC_LCTL, KC_A, KC_S, KC_D, KC_F, KC_G, KC_H, KC_J, KC_K, KC_L, KC_SCLN, KC_QUOT},
{KC_LSFT, KC_Z, KC_X, KC_C, KC_V, KC_B, KC_N, KC_M, KC_COMM, KC_DOT, KC_SLSH, KC_UP},
{KC_ESC, KC_LGUI, KC_LALT, KC_RCTL, LT(RIS,KC_MHEN), KC_SPC, KC_ENT, LT(LWR,KC_HENK), KC_RCTL, KC_LEFT, KC_DOWN, KC_RGHT}
},
/* Raise
* ,-----------------------------------------------------------------------------------.
* | ` | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 0 | = |
* |------+------+------+------+------+-------------+------+------+------+------+------|
* | | | | rClic| lClic| ( | ) | | | { | } | ¥ |
* |------+------+------+------+------+------|------+------+------+------+------+------|
* | | F1 | F2 | F3 | F4 | F5 | F6 | F7 | F8 | F9 | F10 | mUp |
* |------+------+------+------+------+------+------+------+------+------+------+------|
* | Del | | | | | Bksp | Bksp | | | mLft | mDwn | mRgt |
* `-----------------------------------------------------------------------------------'
*/
[_RIS] = {
{KC_GRV, KC_1, KC_2, KC_3, KC_4, KC_5, KC_6, KC_7, KC_8, KC_9, KC_0, KC_EQL},
{_______, _______, _______, KC_MS_BTN2,KC_MS_BTN1, S(KC_9), S(KC_0), _______, _______, KC_LBRC, KC_RBRC, KC_BSLS},
{_______, KC_F1, KC_F2, KC_F3, KC_F4, KC_F5, KC_F6, KC_F7, KC_F8, KC_F9, KC_F10, KC_MS_UP},
{KC_DEL, _______, _______, _______, _______, KC_BSPC, KC_BSPC, _______, _______, KC_MS_LEFT, KC_MS_DOWN, KC_MS_RIGHT}
},
/* Lower
* ,-----------------------------------------------------------------------------------.
* | ~ | ! | @ | # | $ | % | ^ | & | * | | UP | + |
* |------+------+------+------+------+-------------+------+------+------+------+------|
* | | | | DEL | RGHT | ( | ) | | | { | } | | |
* |------+------+------+------+------+------|------+------+------+------+------+------|
* | | | | | | LEFT | DOWN | F7 | F8 | F9 | F10 | Vol+ |
* |------+------+------+------+------+------+------+------+------+------+------+------|
* | Del | | | | | Bksp | Bksp | | | Mute | Vol- | Next |
* `-----------------------------------------------------------------------------------'
*/
[_LWR] = {
{S(KC_GRV), S(KC_1), S(KC_2), S(KC_3), S(KC_4), S(KC_5), S(KC_6), S(KC_7), S(KC_8), _______, KC_UP, S(KC_EQL)},
{_______, _______, _______, KC_DEL , KC_RGHT, S(KC_9), S(KC_0), _______, _______, S(KC_LBRC), S(KC_RBRC), KC_PIPE},
{_______, _______, _______, _______, _______, KC_LEFT, KC_DOWN, KC_F7, KC_F8, KC_F9, KC_F10, KC_VOLU},
{KC_DEL, _______, _______, _______, _______, KC_BSPC, KC_BSPC, _______, _______, KC_MUTE, KC_VOLD, KC_MNXT}
},
Atreus62のキーマップの話
Atresu62が届いてキーマップも作ったのでご紹介。
ちなみにAtreus62とは、profet keyboardsにて販売されている60%キーボードである。肩を開いて打鍵できるエルゴノミクス設計と、親指で打鍵するエリア(ふつうはスペースバーがあるエリア)に複数のキーが配置されていることが特徴。日夜左手の小指を酷使し腱鞘炎と闘うemacserたちも、これを使えばたちどころに手首や肩への負担が軽減され見違えるような健康体となりらんらんと目が輝いてくることうけあいの超絶素敵アイテムであります。
この前のPlanckキーボードと同様に、QMKでファームウェアをビルドする。Flashingの手順は公式のビルドガイドに詳しい。
今回Atreus62用にぼくが考案したさいきょうのキーマップは以下の通り。
default ,-----------------------------------------. ,-----------------------------------------. | Esc | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | | 6 | 7 | 8 | 9 | 0 | = | |-----------------------------------------| |-----------------------------------------| | Tab | Q | W | E | R | T | | Y | U | I | O | P | - | |------+------+------+------+------+------| |------+------+------+------+------+------| | Ctrl | A | S | D | F | G | | H | J | K | L | ; | " | |------+------+------+------+------+------| |------+------+------+------+------+------| | Shift| Z | X | C | V | B |-----. ,-----| N | M | , | . | / | Up | |------+------+------+------+------+------| | | |------+------+------+------+------+------| | Fn | Win | Alt | GUI | MHEN |Space | ( | | ) |Enter | HENK | GUI | Left | Down |Right | `-----------------------------------------------' `-----------------------------------------------' _FN ,-----------------------------------------. ,-----------------------------------------. | ` | F1 | F2 | F3 | F4 | F5 | | F6 | F7 | F8 | F9 | F10 | PgUp | |-----------------------------------------| |-----------------------------------------| | | |WHEEL+| END | | | | F11 | F12 | INS | | Up | PgDn | |------+------+------+------+------+------| |------+------+------+------+------+------| | | HOME |WHEEL-| DEL | RGHT | Esc | | Bksp | | | | | \ | |------+------+------+------+------+------| |------+------+------+------+------+------| | | rClic| lClic| | PgDn | Left |-----. ,-----| Down | | | | | mUp | |------+------+------+------+------+------| [ | | ] |------+------+------+------+------+------| | | | | DEL | | Bksp | { | | } | Bksp | | | mLft | mDwn | mRgt | `-----------------------------------------------' `-----------------------------------------------'
ポイントは
- 多用するスペースキーとリターンキーはもちろん親指で打鍵できるように配置した
- MHENとHENKは無変換/変換キー。職場のWindows PCではこれらにIME ON/OFFを割り当てているので、Macの英数/かなキーと似た感覚で日本語の作文ができる。利用頻度の高さから親指エリアに配置した
- 普段から日本語配列キーボードとUNIX配列キーボードを併用している身として一番困惑するのがパーレン・ブラケット・ブレイスの位置。日ごろの鬱憤を込めて親指エリアの一番大きいキーにまとめてアサインした
- emacserの生命線であるCtrlキーは親指エリアに配置してもよかったけど、そうすると他のキーボードを使う必要に狩られた際に初めてキーボードを与えられた赤子のような手つきになってしまうので、いつも通りAの左側の定位置に配置した
- Fnキー押下時にemacsのキーバインドを再現しているのは、iPadやiPhoneに接続したときのため。iOSは一部emacsキーバインドに対応しているが、なぜかC-nとC-pには対応していなくて不便なのだ
- mLftとかrclicとかはマウス操作。wheel+とwheel-はマウスホイール。が、正直トラックポイントの方がずっと使いやすい。AtreusもTEX Yodaみたいにトラックポイント付きのモデル設計してくれないかな……
ちなみにぼくはLightning - USB 3カメラアダプタ経由でiPadやiPhoneにメカニカルキーボードを接続しています(消費電力が大きいキーボードもバッテリーと同時に接続可能)。カフェドヤ活動等に便利ですが、こういう用途で作られた商品ではないので利用の際は自己責任でお願いします。
ねじれ双角錐群『望郷』@11/23水祝 文学フリマ東京
nejiresoukakusuigun.tumblr.com
サークル『ねじれ双角錐群』の小説合同誌『望郷』を、11/23(水・祝)開催の第二十三回文学フリマ東京にて頒布します。ブースはイ-46です。その他、詳細情報、参加者および作品あらすじは上記リンクをご参照ください。
ぼくの小説はほんのりSF仕立ての幻想譚 feat.のじゃロリ狐ババアなものとなっております。文学フリマ東京にお越しの各位に於かれましてはふらっと購入しましょう。当日はcydonianbananaの影武者(5人いる)の内の一人が売り子をする予定です。よろしくお願いします!
新海誠『君の名は。』
1回目を見た感想を書く。2回目を見たら見解が変わると思う。
# overview
『君の名は。』観たけどこれはもう秒速五センチメートルで約束の地を追われた俺たちがエジプトを出奔し過酷な放浪の末にようやくカナンにたどり着くまでのいきさつを描いた壮大な叙事詩の最終章だったというか、なんかもう新海誠作品群はメタな視点から見たときに新海誠の成長譚として受容されてしまいもはや主人公:新海誠といった状態なのでもう以降は『劇場版新海誠』と呼ばせていただくが、今回の『劇場版新海誠』は作中の全ての意図が説明ではなく描写によって解明されておりぼくはただただ涙を流すだけの機械と化してしまった。なんかもう「フィクションはこれにて完成です!有史以来ご苦労様でした!!解散!!!」という感じだった。生きてこの映画が見られて本当によかった。新海誠と同じ時代に生きていて本当によかった。ああ今はこの世界を創りたもうた神々に感謝することしかできないよ俺は。
# theme
思春期の残滓、青春の不可能性、一回性、二度と戻ってこないあの感覚を奇跡によって克服してしまった残酷な映画という感じがする。君の名を忘れてしまったら、もう二度と元には戻れない。それに気づいてそれでも前を向いて歩き出すのが『秒速五センチメートル』だったが、『君の名は。』では「君の名前は?」ともう一度聞くチャンスが、奇跡・偶然によってもたらされている感じがして残酷な救済という印象。序盤の交代するモノローグ、終盤のすれ違うシーンなどはそのまま『秒速五センチメートル』だが、本作ではその続きが奇跡によって成就してしまった世界が描かれている。これは残酷なのか?それとも、希望なのか?
三葉の父親は、宮水家の入れ替わり現象の情報を少なからず持っていたと思われる。それは、瀧in三葉に胸倉を掴まれたときのリアクションからそう思われる。彼はそれを妄言癖と形容していた。また一葉は、夢を見たことがあることを覚えている。
隕石事故を無くしてしまうということの意味をよく考えた方がいいかもしれない。忘却について。ラーメン屋のおやじについて。単なる物語や意味に回収できない不穏なもの、その集合が形成する結末の別の解釈を求めたい。
「ここではないどこかへ行きたい」「今の自分は本当の自分じゃないんじゃないか」という想いが新海誠作品にあらわれる分裂したふたつの世界として表出されていたが、本作では岐阜と東京だった。その間には時間の差異が横たわっており、しかしその跳躍にはSF的な説明は付されず、物語の波に乗る僕らと新海誠の感情に即して都合よく乗り越えられていく。こうなると、これまで描かれてきた、たどり着けなくてもなんとかやっていこうというポジティブさ、悲しいハッピーエンドは、どうなってしまうのか。それは、否定されて二度と戻ってこないのか? それを救うような解釈を、君の名は。に求めたい。ぼくはそれを考え続けたいと思う。
思春期の残滓、青春の不可能性、人生の一回性。君の名は。は二度と戻ってこないあの感覚を奇跡によって克服してしまった極めて残酷な映画なんじゃないか?という要約になる。君の名を少しずつ忘れながら生きていかざるをえない僕らにとって、忘却は最良の友であり温厚な看守であった。そのやさしくも冷たい孤独を苦悩の裡に受け入れ、それでも前を向いて歩き出した秒速五センチメートルの達成を、君の名は。は部分的に肯定するものの、「君の名前は?」ともう一度聞く機会を偶然によってもたらしている。これは、あまりに残酷すぎないか?ラーメン屋のオヤジの悲しみを、奇跡の名の下になかったことにしてもいいのか? ぼくにはまだ判断がつかない。
# Performance
- 瀧の中に入りたての三葉がカフェに行くシーン、司たちが木ぐみの天井に感銘を受けている場面で、三葉in瀧は当然そんなものには目もくれずにパンケーキに夢中なのだ。糸守に木ぐみの天井はありふれているらしいということがわかるシーン
- もしかしたら、三葉の自宅の天井を描いたシーンがあったのではないか?僕だったらそれを入れていく
- 勅使河原は序盤でオカルト好きであることが明示されているので、終盤に隕石が落ちてくるという話を信じたことの説明は一応できる
- 瀧の仕事で糸守の街を再建する未来が見える
- 三葉in瀧がバイトを初日からこなし始めるシーン。三葉ハイスペックすぎると思うが、夢だと思いながらヤケクソでやってるからなんか成立してる、という説明は一応できる
- 瀧in三葉が美術の時間に机を蹴って威圧するシーン、言の葉の庭と韻を踏んでいる
- 糸守の絵を見て瀧に協力する高山ラーメン屋のオヤジの視点は、視聴者の視点とシンクロしているので高ぶる。つまり、視聴者は美しい糸守の景色をこれでもかと見せられてきて、そしてそれが破滅してしまった現在の様子を見せられる。俺たちはその悲しさを、ラーメン屋のオヤジと共有しているんだ
- 糸守の湖を序盤に見ると、隕石湖かカルデラ湖か、といった印象を一発で与える。しかしそれについて説明はなく、描写して見せているだけなので、終盤に彗星の話が出てきたときに、物語の快楽を生じる。すなわち、視聴者の頭の中で情報が結合して快楽を生じる
- 御神体の中で口噛み酒を飲んだ直後のシーンの走馬灯
- 描写によって駆動するということは、シチュエーションを描くということであり、シチュエーションの中で物語の整合性などの理屈を描かなければならない。そのハードルは高い。新海誠はその点にそこまで成功していない、もしくは重視していないという指摘があるが、君の名は。に関して言えば、かなり成功しているように思える
思うところはたくさんあるけど結論としては、ぼくは新海誠の、映像と音声によって人間を強制的に快楽の坩堝に叩き落とす行為に共鳴するのでこの映画の評価は常に満点ということになります。人間は動物です。ありがとうございました。